いしぷろ日記

絵本とはなにか

5月から、ある大学で、山崎翠先生の「子育てに絵本を」という講座を受講している。昨年、山崎先生の講演を聴く機会があり、大変感動したので、この講座の情報を聞いて飛びついたというわけだ。
絵本の読み聞かせは、ただ好きで何年もボランティアを続けてきた。自分が本を読むことが好きなので、子どもたちにその楽しさを少しでも気付いてほしい、という気持ちがあったし、子どもたちが食い入るように本を見つめ、本の世界に入っている、その表情を見るのがただただ楽しくて続けてきた。

が、山崎先生の話を聞いていると、絵本を読むってそれだけではないのだ、ということがわかってきた。

人は言葉でものを考える。言葉が乏しければ、思想も貧困になる。ゆたかな言語体験をするのに絵本はとても重要な役割を果たす、と先生は言う。登場人物に感情移入して、感動したり、怒ったり、泣いたりすることで、「悲しい」とか「辛い」という言葉の意味を、実感を伴って理解することができる。感情や感性も豊かになる。

いつもは読み聞かせをする側だが、たまに、人に読み聞かせをしてもらうこともある。すると、まったく思いがけないことだったが、絵本の世界に引き込まれて、思わず泣いてしまう、ということがしばしばある。絵本の筋はけっこう単純なものだし短いものだが、聞いているうちに、自分の似たような経験や、心の奥底の記憶が呼び覚まされてしまうのだろうか。自分で読むときには到底感じないような、深い感動におそわれることがある。そういうとき、絵本のすごさ、読み聞かせのすごさを思い知らされる気がする。

読み聞かせはヘタだから、子どもが聞きたがらないから、と読み聞かせをしない人は結構多い。なんだかもったいない気がする。

私の子どもたちはみんな、どんなに眠くても読み聞かせをひとつしないことには眠らない。本当に眠くてたまらなくなっても「目をつぶってても聞いてるからちゃんと読んでよ」と往生際が悪い。もちろん、1分後には眠ってしまっている。一番上の子のときからだから、私はもう十何年も毎晩読み聞かせをしている。どんなに忙しく、辛い一日でも、読み聞かせのひとときは私にとっても一日で一番幸せな時間だった。子どもが大きくなると、だんだん読み聞かせを喜ばなくなっていくのでさびしくて仕方がない。

山崎先生が言っていた話だが、ある人が、中学生の娘さんから、小さいときによく読んであげた『いいこってどんな子?』を読んでと突然言われて、読んであげたら、「元気が出た、ありがとう」と娘さん。後でわかったことだが、その子はずっといじめにあっていた。でも、絵本の中の「おかあさんは、今のままのあなたが一番すきなんですもの」という言葉に、その子は救われたのだ。こういう話を聞くと泣けてしかたがない。絵本を媒介とした、母と子の絆がこの親子にはあったのだな、と思う。



コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

 

トラックバック